朝顔に対して

(わが詩集の発売禁止の翌朝)

昨夜ようべ、悲憤に寝もやらず

もたるゝ窓の下白う

朝顔咲けり美はしく、

花も自由に開くもの

人の思想の何ゆゑに

残忍の手にやらはれし、

あゝ、戦場を楽園そのとかへ

花を咲せむ心をば

朝日を砕き、潮をき、

雲を消すべきすべあらば

世紀を越えて勃興おこりたる

かの新思想圧すべし、

涙に湿し人々の

蒔きに蒔くなる愛の種子たね

失せず、滅びず、華開き

平和の世界とはなりぬべし。