第一編 國家大則及権限
第一章 國家ノ大則 第二章 國家ノ権限
第二編 聯邦大則及権限 竝ニ各州ト相関スル法
第一章 聯邦ノ大則 第二章 聯邦ノ権限竝ニ各州ト相関スル法
第三編 各州ノ権限及聯邦ト相関スル法
第四編 日本國民及日本人民ノ自由権利
第五編 皇帝皇族及摂政
第一章 皇帝ノ威厳 第二章 皇帝ノ権限
第三章 皇帝及皇帝ノ継承 第四章 皇帝ノ即位
第五章 皇帝ノ婚姻 第六章 皇帝ノ歳俸
第七章 皇帝ノ年令 第八章 攝 政 第九章 皇 族
第六編 立法権ニ関スル諸規則
第一章 立法権ニ関スル大則 第二章 立法権ノ権限
第三章 立法議員権力 第四章 議員撰挙及被撰挙ノ法
第五章 議員ノ任期 第六章 議員償給費 第七章 議員ノ制限
第八章 立法會議ノ時日 第九章 立法會議閉集散
第十章 會議ノ規則
第十一章 立法院ノ決議ヲ國法ト為スニ就テ皇帝ト相関スル規則
第七編 行政権ニ関スル諸則
第一章 行政権ニ関スル大則 第二章 行政官
第三章 行政府 第四章 統計局
第八編 司法権ニ関スル諸則
第一章 司法権ニ関スル大則 第二章 法 官 第三章 法 衙
第四章 裁 判 第五章 高等法院
第九編 土 地
第十編 租 税
第十一編 國 金
第十二編 財 政
第十三縮 會 計
第十四編 用軍兵
第十五編 外國人帰化
第十六編 特法學事
第十七編 鐵道電信陸路水利
第十八編 憲法改正
附 則
日本國々憲案
第一編 図家ノ大則及権利
第一章 國家ノ大則
第一條 日本國ハ日本國憲法ニ循テ之ヲ立テ之ヲ持ス
第二條 日本國ニ一立法院一行政府一司法廳ヲ置ク憲法其規則ヲ設ク
第二章 國家ノ権限
第三條 日本ノ國家ハ國家政府ヲ達行センガ為メニ必要ナル事物ヲ備フルヲ得
第四條 日本國家ハ外國ニ封シテ交際ヲ為シ條約ヲ結ブヲ得
第五條 日本ノ國家ハ日本各人ノ自由権利ヲ殺減スル規則ヲ作リテ之ヲ行フヲ得ズ
第六條 日本ノ國家ハ日本國民各自ノ私事ニ干渉スルコトヲ施スヲ得ズ
第二編 聯邦ノ大則及権限竝ニ各州ト相関スル法
第一章 聯邦ノ大則
第七條 日本武蔵州 山城州 大和州 和泉州 攝津州 伊賀州 伊勢州 志摩州 尾張州 三河州 遠江州 駿河州 甲斐州 伊豆州 相模州 安房州 上総州 下総州 常陸州 近江州 美濃州 飛騨州 信濃州 上野州 下野州 岩代州 盤城州 陸前州 陸中州 陸奥州 羽前州 羽後州 若狭州 越前州 加賀州 能登州 越後州 越中州 佐渡州 丹後州 但馬州 因幡州 伯耆州 出雲州 石見州 隠岐州 播磨州 美作州 備中州 安藝州 周防州 長門州 紀伊州 淡路州 阿波州 讃岐州 伊豫州 土佐州 筑前州 筑後州 豊前州 豊後州 肥前州 肥後州 日向州 大隅州 薩摩州 壱岐州 對馬州 琉球州ヲ聯合シテ日本聯邦トナス
第八條 日本聯邦ニ大政府ヲ置キ聯邦ノ政ヲ統ブ
第九條 日本聯邦ハ日本各州ニ對シ其州ノ自由獨立ヲ保護スルヲ主トスベシ
第十條 日本國内ニ於テ未ダ獨立ノ州ヲ為サザル者ハ聯邦之ヲ管理ス
第十一條 日本聯邦ハ日本各州ニ對シ外國ノ侵寇ヲ保禦スルノ責アリ
第二章 聯邦ノ権限竝ニ各州ト相関スルノ法
第十二條 日本聯邦ハ日本各州相互ノ間ニ関シテ規則ヲ立ツルコトヲ得
第十三條 日本聯邦ハ日本各州ニ對シテ其一州内各自ノ事件ニ干渉スルヲ得ズ其州内郡邑等ノ定制ニ干渉スルヲ得ズ
第十四條 日本聯邦ハ日本各州ノ土地ヲ奪フヲ得ズ其州ノ肯テ諾スルニ非ザレバ一州ヲモ廃スルヲ得ズ
第十五條 憲法ニ非レバ日本諸州ヲ合割スルヲ得ズ諸州ノ境界ヲ変ズルヲ得ズ
第十六條 日本國内ニ於テ新ニ州ヲ為スニ就テ日本聯邦ニ合セントスル者アルトキハ聯邦ハ之ヲ妨グヲ得ズ
第十七條 外國ト諸盟約ヲ結ブノ権國家ノ体面ヲ以テ諸外國ト交際ヲ為スノ権ハ聯邦ニアリ
第十八條 聯邦中ニ用フル度量衡ヲ制定スルノ権ハ聯邦ニアリ
第十九條 通貨ヲ造ルノ権ハ聯邦ニアリ
第二十條 海関税ヲ定ルノ権ハ聯邦ニアリ
第二十一條 宣戦講和ノ権ハ聯邦ニアリ
第二十二條 日本聯邦ハ聯邦ノ管スル處ニ燈船燈台浮標ヲ設クルヲ得同種類ノ者ハ順次揚グルヲ得
第二十三條 日本聯邦ハ驛遞ヲ管理スルヲ得
第二十四條 日本聯邦ハ特ニ聯邦ニ関スル事物ノ為メニ諸法律規則ヲ定ムルヲ得
第二十五條 日本聯邦外國貨幣及尺度権衡ノ聯邦内ニ通用スルモノニ價位ヲ定ムルヲ得
第二十六條 日本聯邦ニ常備軍ヲ設置スルヲ得
第二十七條 日本中一州ト一州ト相互ノ間ニ渉ル争訟ハ聯邦之ヲ審判ス
第二十八條 日本各州ト外國使節ト公務ノ往復アルトキハ聯邦行政府ヲ経由ス
第三編 各州ノ権限竝ニ聯邦ト相関スル法
第廿九條 日本各州ハ日本聯邦ノ大ニ抵觸スルモノヲ除クノ外皆獨立シテ自由ナルモノトス何等ノ政体政治ヲ行フトモ聯邦之ニ干渉スルコトナシ
第三十條 日本ノ各州ハ外國ニ向ヒ國家ノ権利体面ニ関シ國土ニ関スル條約ヲ結ブコトヲ得ズ
第卅一條 日本各州ハ外國ニ向ヒ聯邦竝ニ他州ノ権利ニ関セザル事ニ限リ経済上ノ件警察上ノ件ニ就キ互約ヲ為スヲ得又タ法則ヲ立ツルコトヲ得
第三十二條 日本各州ハ既ニ寇賊ノ来襲ヲ受ケ危急ニ迫ルニアラザレバ戦ヲ為スヲ得ズ
第三十三條 日本各州ハ互ニ戦闘スルヲ得ズ争訟アレバ決ヲ聯邦政府ニ仰グ
第三十四條 日本各州ハ現ニ強敵ヲ受ケ大乱ノ生ジタルガ如キ危急ノ時機ニ際シテハ聯邦ニ報ジテ救援ヲ求ルコトヲ得又タ他州ニ向テ應援ヲ請フコトヲ得各州右ノ次第ヲ以テ他州ヨリ應援ヲ請ハレシ時眞ニ其危急ニ迫ルヲ知ルトキハ赴援スルヲ得其費ハ聯邦ニ於テ之ヲ辨ズ
第三十五條 日本各州ハ常備兵ヲ設置スルヲ得
第三十六條 日本各州ハ護郷兵ヲ設置スルヲ得
第三十七條 日本各州ハ聯邦ノ許允ヲ待タズシテ二州以上互ニ盟約ヲ結ブヲ得ズ
第三十八條 日本各州ハ二州以上協議ヲ以テ其境界ヲ変改スルヲ得又タ其州ヲ合スルヲ得此事アルトキハ必ズ聯邦ニ通ゼザルべカラズ
第三十九條 (欠)
第四編 日本國民及日本人民ノ自由権利
第四十條 日本ノ政治社會ニアル者之ヲ日本國人民トナス
第四十一條 日本ノ人民ハ自ラ好ンデ之ヲ脱スルカ及自ラ諾スルニ非ザレバ日本人タルコトヲ削ガルヽコトナシ
第四十二條 日本ノ人民ハ法律上ニ於テ平等トナス
第四十三條 日本ノ人民ハ法律ノ外ニ於テ自由権利ヲ犯サレザルべシ
第四十四條 日本ノ人民ハ生命ヲ全フシ四肢ヲ全フシ形体ヲ全フシ健康ヲ保チ面目ヲ保チ地上ノ物件ヲ使用スルノ権ヲ有ス
第四十五條 日本ノ人民ハ何等ノ罪アリト雖モ生命ヲ奪ハ(レ)ザルべシ
第四十六條 日本ノ人民ハ法律ノ外ニ於テ何等ノ刑罰ヲモ科セラレザルべシ又タ法律ノ外ニ於テ鞠治セラレ逮捕セラレ拘留セラレ禁錮セラレ喚問セラルヽコトナシ
第四十七條 日本人民ハ一罪ノ為メニ身体汚辱ノ刑ヲ再ビセラルヽコトナシ
第四十八條 日本人民ハ拷問ヲ加へラルヽコトナシ
第四十九條 日本人民ハ思想ノ自由ヲ有ス
第五十條 日本人民ハ如何ナル宗教ヲ信ズルモ自由ナリ
第五十一條 日本人民ハ言語ヲ述ブルノ自由権ヲ有ス
第五十二條 日本人民ハ議論ヲ演ブルノ自由権ヲ有ス
第五十三條 日本人民ハ言語ヲ筆記シ板行シテ之ヲ世ニ公ケニスルノ権ヲ有ス
第五十四條 日本人民ハ自由ニ集會スルノ権ヲ有ス
第五十五條 日本人民ハ自由ニ結社スルノ権ヲ有ス
第五十六條 日本人民ハ自由ニ歩行スルノ権ヲ有ス
第五十七條 日本人民ハ住居ヲ犯サレザルノ権ヲ有ス
第五十八條 日本人民ハ何クニ住居スルモ自由トス又タ何クニ旅行スルモ自由トス
第五十九條 日本人民ハ何等ノ教授ヲナシ何等ノ學ヲナスモ自由トス
第六十條 日本人民ハ如何ナル産業ヲ営ムモ自由トス
第六十一條 日本人民ハ法律ノ正序ニ據ラズシテ屋内ヲ探検セラレ器物ヲ開視セラルヽ事ナシ
第六十二條 日本人民ハ信書ノ秘密ヲ犯サレザルベシ
第六十三條 日本人民ハ日本國ヲ辞スル事自由トス
第六十四條 日本人民ハ凡ソ無法ニ抵抗スル事ヲ得
第六十五條 日本人民ハ諸財産ヲ自由ニスルノ権アリ
第六十六條 日本人民ハ何等ノ罪アリト雖ドモ其私有ヲ没収セラルヽ事ナシ
第六十七條 日本人民ハ正當ノ報償ナクシテ所有ヲ公用トセラルヽ事ナシ
第六十八條 日本人民ハ各其名ヲ以テ政府ニ上書スル事ヲ得各其身ノタメニ請願ヲナスノ権アリ其公立會社ニ於テハ會社ノ名ヲ以テ其書ヲ呈スル事ヲ得
第六十九條 日本人民ハ諸政官ニ任ゼラルヽノ権アリ
第七十條 政府國憲ニ違背スルトキハ日本人民ハ之ニ従ハザル事ヲ得
第七十一條 政府官吏壓制ヲ為ストキハ日本人民ハ之ヲ排斥スルヲ得
政府威力ヲ以テ擅恣暴逆ヲ逞フスルトキハ日本人民ハ兵器ヲ以テ之ニ抗スル事ヲ得
第七十二條 政府恣ニ國憲ニ背キ擅ニ人民ノ自由権利ヲ残害シ建國ノ旨趣ヲ妨グルトキハ日本國民ハ之ヲ覆滅シテ新政府ヲ建設スル事ヲ得
第七十三條 日本人民ハ兵士ノ宿泊ヲ拒絶スルヲ得
第七十四條 日本人民ハ法庭ニ喚問セラルヽ時ニ當リ詞訴ノ起ル原由ヲ聴クヲ得
己レヲ訴フル本人ト対決スルヲ得己レヲ助クル証據人及表白スルノ人ヲ得ルノ権利アリ
第五編 皇帝及皇族攝政
第一章 皇帝ノ特権
第七十五條 皇帝ハ國政ノ為メニ責ニ任ゼズ
第七十六條 皇帝ハ刑ヲ加へラルヽ事ナシ
第七十七條 皇帝ハ身体ニ属スル賦税ヲ免カル
第二章 皇帝ノ権限
第七十八條 皇帝ハ兵馬ノ大権ヲ握ル宣戦講和ノ機ヲ統ブ他國ノ獨立ヲ認ムルト認メザルトヲ決ス
但シ和戦ヲ決シタルトキハ直ニ立法院ニ報告セザル可ラズ
第七十九條 皇帝ハ平時ニ在リ立法院ノ議ヲ経ズシテ兵士ヲ徴募スルヲ得
第八十條 皇帝ハ外國事務ノ総裁タリ諸外國交官ヲ命ズルヲ得外國交際ノ権ヲナスヲ得
但シ國権ニ関スル條約連盟ハ立法院ノ議ヲ経ルニ非レバ決行スルヲ得ズ
第八十一條 皇帝ハ人民ニ勲等賞牌ヲ興フル事ヲ得
位階ヲ與フル事ヲ得ズ
第八十二條 皇帝ハ立法院ノ議ニ由ラザレバ通貨ヲ創造若クハ改造スルヲ得ズ
第八十三條 皇帝ハ立法議會ノ承諾ヲ経テ聯邦ノ罪囚ヲ赦免シ及降減スル事ヲ得
聯邦既定ノ裁判ヲ他ノ裁判所ニ移シテ復審セシムル事ヲ得
法司ノ法権ヲ施スヲ沮格スルヲ得ズ
聯邦執政ノ職務罪ニ係ル者ハ聯邦立法院ニ反テ恩赦ヲ與へ降減ヲナス事得ズ
第八十四條 皇帝ハ立法議會ヲ延引スルヲ得立法議院ノ承諾ナクシテ三十日ヲ越ユル事ヲ得ズ
第八十五條 皇帝ハ諸兵備ヲ為スヲ得
第八十六條 皇帝ハ國政ヲ施行スルガ為メニ必要ナル命令ヲ発スル事ヲ得
第八十七條 皇帝ハ人民ノ権利ニ係ル事國家ノ金銭ヲ費スベキ事國家ノ土地ヲ変ズべキ事ヲ専行スルヲ得ズ必ズ聯邦立法院ノ議ヲ経ルヲ要ス
立法院ノ議ヲ経ザルモノハ實行スルノ効ナシ
第八十八條 皇帝ハ聯邦行政府ニ出頭シテ政ヲ秉ル
第八十九條 皇帝ハ聯邦行政府ノ長タリ常ニ聯邦行政ノ権ヲ統ブ
特別ニ定ムル者ノ外聯邦諸行政官吏ヲ命ズル事ヲ得
第九十條 皇帝ハ聯邦司法廳ノ長タリ其名ヲ以テ法権ヲ行フ又法官ヲ命ズ
第九十一條 皇帝ハ現行ノ法律ヲ廃シ已定ノ法律ヲ格置スルヲ得ズ
第九十二條 皇帝ハ法ノ外ニ於テ租税ヲ収ムルヲ得ズ
第九十三條 皇帝ハ法ノ外ニ於テ立法院ノ議ヲ拒ムヲ得ズ
第九十四條 皇帝ハ立法議會ト意見ヲ異ニシテ和セザルニ當リ一タビ其議會ヲ解散スル事ヲ得之ヲ解散シタルトキハ必ズ三日内ヲ以テ其旨ヲ各選擧區ニ達シ且人民ヲシテ更ニ議員ヲ撰バシメ必ズ六十日以内ヲ以テ議會ヲ復開セザル可ラズ一タビ解散シタル上ニテ復開シタル議會ハ同事件ニ就テ再ビ解散スル事ヲ得ズ
第九十五條 立法院ノ議決シタル事ニシテ皇帝之ヲ實施シ難シト為ストキハ議會ヲシテ之ヲ再議セシムルヲ得此ノ如キトキハ皇帝ハ其由ヲ詳説陳辨セザル可ラズ
第九十六條 日本國皇帝ノ位ハ今上天皇陸仁陛下ニ属ス
第九十七條 今上皇帝陛下位ヲ去レバ陛下ノ正統子孫ニ傳フ若シ子孫ナキトキハ尊族ノ親近ナル者ニ譲ル左ノ次序ニ循フ
今上皇帝ノ位ハ第一嫡皇子及其統ニ世傳ス
第二 嫡皇子及其統ナキトキハ嫡庶子及其統ニ世傳ス
第三 嫡庶子及其統ナキトキハ庶皇子及其統ニ世傳ス
第四 以上統ナキトキハ嫡皇女及其統ニ世傳ス
第五 以上統ナキトキハ庶皇女ニ世傳ス
第六 若シモ以上ノ嫡皇子孫庶皇子孫及其統ナキトキハ皇帝兄弟姉妹及其統ニ世傳ス
第八 若シモ皇帝ノ嫡庶子孫兄弟姉妹伯叔父母及其統ナキトキハ立法院ノ議ヲ以テ皇族中ヨリ撰デ其嗣ヲ定ム
第九十八條 帝位継承ノ順序ハ男ハ女ニ先チ長ハ幼ニ先チ嫡ハ庶ニ先ツ
第九十九條 非常特別ノ事アリ帝位継承ノ順序ヲ変ゼントスル事アレバ皇帝ト立法院トノ協議ヲ経テ之ヲ行フべシ
第四章 皇帝ノ即位
第百條 皇帝ノ即位ハ必ズ立法議員列席ノ前ニ於テス
第五章 皇帝ノ婚姻
第百一條 皇帝ノ婚姻ハ必ズ立法院ノ議ヲ経ルヲ要ス
第百二條 女帝ノ夫婿ハ王権ニ干渉スルヲ得ズ
第六章 皇帝ノ歳俸
第百三條 皇帝ハ年々國庫ヨリ○○萬圓ノ俸ヲ受ク
第七章 皇帝ノ年齢
第百四條 皇帝ノ歳未ダ十八歳ニ至ラザル内ハ之ヲ未成年ト定ム 十八歳ニ及ベバ之ヲ成年ト定ム
第八章 攝 政
第百五條 皇帝未成年ノ間ハ攝政ヲ置ク
第百六條 皇帝長ク事故アリテ親ラ政ヲ秉ル事能ハザルトキハ攝政職ヲ置ク
第百七條 皇帝事故アリテ攝政職ヲ置クノ時ニ際シ皇太子成年ナルトキハ皇太子ヲ以テ攝政ニ當ツ
第百八條 攝政ハ皇帝ノ名ヲ以テ王権ヲ行フ
第百九條 攝政ノ職制章程ハ立法院ニ於テ之ヲ立定ス
第百十條 攝政官ハ皇帝又ハ主相之ヲ指名シ立法院之ヲ定ム
第百十一條 皇帝嗣ノ未成年中ニ其位ヲ譲ラントスルノ場合ニ於テハ豫メ攝政官ヲ指名シテ立法院ノ議ニ附シ之ヲ定ムル事ヲ得
第九章 皇 族
第百十二條 皇太子ハ身体ニ関スル賦課ヲ免カル
第百十三條 皇太子ハ年々國庫ヨリ支給ヲ受ク法章之ヲ定ム
第六編 立法権ニ関スル諸則
第一章 立法権ニ関スル諸則
第百十四條 日本聯邦ニ関スル立法ノ権ハ日本聯邦人民全体ニ属ス
第百十五條 日本聯邦人民ハ皆聯邦ノ立法議政ノ権ニ與カル事ヲ得
第百十六條 日本皇帝ハ日本聯邦立法権ニ與カル事ヲ得
第百十七條 日本聯邦ノ法律制度ハ聯邦立法院ニ於テ立定ス
第百十八條 聯邦立法院ハ全國ニ一ヲ置ク
第百十九條 聯邦立法ノ権ハ限数人代議ノ制ヲ用ヒテ之ヲ行フ
第二章 立法院権限
第百廿條 聯邦立法院ハ聯邦ニ関スル租税ヲ定ムルノ権ヲ有ス
第百廿一條 聯邦立法院ハ聯邦ノ軍律ヲ定ムル事ヲ得
第百廿二條 聯邦立法院ハ聯邦裁判所ノ訴訟法ヲ定ルヲ得
第百廿三保 聯邦立法院ハ聯邦ニ関スル兵制ヲ議定スル事ヲ得
第百廿四條 聯邦立法院ハ聯邦ノ名ヲ以テ國債ヲ起シ金銀ヲ借リ及之ヲ償却スルノ法ヲ立ル事ヲ得
第百廿五條 聯邦立法院ハ通貨ニ関スル法律ヲ立ル事ヲ得
聯邦ニ對スル國事犯罪律ヲ立ルヲ得
第百廿六條 聯邦立法院ハ郵便ノ制ヲ立ルヲ得
第百廿七僕 聯邦立法院ハ聯邦ノ通貨ヲ増減改造スルノ議ヲ定ル事ヲ得
第百廿八條 聯邦立法院ハ聯邦ノ共有物ヲ所置スルヲ得
第百廿九條 聯邦立法院ハ聯邦政府ノ保証ヲ為ス銀行會社ノ規則ヲ立ル事ヲ得
第百三十條 聯邦立法院ハ切要ナル調査ニ関シ聯邦ノ官吏ヲ議場ニ提喚スルノ権アリ又聯邦人民ヲ召喚スルノ権アリ又聯邦人民ヲ召喚シテ事情ヲ質スル事ヲ得
第百卅一條 聯邦立法院ハ憲法ノ許ス所ノ権利ヲ行フガ為メニ諸規則ヲ立ルヲ得
第百卅二條 聯邦立法院ハ外國人并ニ國外ノ者ニ関スル規則ヲ立ツル事ヲ得
第百卅三條 聯邦立法院ハ聯邦行政府諸執行ノ職務ニ関セル罪科竝ニ國事犯罪ヲ弾劾論告シ正的ノ法院ニ求刑スルノ権ヲ有ス
第百卅四條 聯邦立法院ハ本院議員ノ権任ヲ監査スルノ権アリ
第百卅五條 聯邦立法院ハ議員ニシテ其職分ニ関スル命令規則ニ違背スル者ヲ處分スルヲ得
第百卅六條 聯邦立法院ハ既往ニ溯ルノ法律ヲ立ルヲ得ズ
第百卅七條 聯邦立法院ハ外國ト條約ヲ結ビ連盟ヲ為スヲ決定スルノ権アリ
但シ國権ノ獨立ヲ失フノ契約ヲナスヲ得ズ
第百卅八條 聯邦立法院ハ行政部ニ對シ推問ノ権ヲ有ス
第三章 立法議員ノ権力
第百卅九條 聯邦立法議員ハ其職ヲ行フニ附キ発言シタル意見ニ就テ糾治検索セラルヽ事ナシ
第百四十條 聯邦立法議員ハ本院ノ許可ヲ経ズシテ開會ノ間並ニ其前後三十日間ハ要領ノ為ニ拘引拘留セラルヽ事ナシ刑事ノ為ニ拿捕セラレ糾治セラルヽ事ナシ
但シ現行犯ハ此限ニアラズ
第四章 議員撰擧及被撰擧ノ法
第百四十一條 聯邦議員ハ聯邦人民之ヲ直撰ス
第百四十二條 聯邦議員ハ一州各七名ト定ム
第百四十三條 現ニ租税ヲ納メザル者現ニ法律ノ罪ニ服シ居ル者政府ノ官吏ハ議員ヲ撰挙スル事ヲ得ズ
第百四十四條 現ニ法律ノ罪ニ服シ居ル者政府官吏ハ議員ニ撰擧セラルヽ事ヲ得ズ
第百四十五條 日本各州ハ何レノ州ノ人ヲ撰擧シテ議員トナスモ自由トス
第五章 議員ノ任期
第百四十六條 聯邦ノ立法議員ハ三年ヲ一期トシ三年毎ニ全員ヲ改撰ス
第六章 議員ノ償給旅費
第百四十七條 聯邦ノ立法議員ハ年々國庫ヨリ三千円ノ手當金ヲ受ク又其會議ニ出ヅル毎ニ往復旅費ヲ受ク
第百四十八条 (欠)
第八章 立法會議
第百四十九條 聯邦ノ立法會議ハ毎年一回之ヲ為ス其ノ他事ナキニ於テハ十月第一ノ月曜日ニ之ヲ開ク
第百五十條 議事ノ多少ニ依リ皇帝ハ時々期日ヲ伸縮スルヲ得然レドモ議員過半数ノ同意アルトキハ皇帝ノ命アリト雖ドモ議會其伸縮ヲ定ム
第九章 立法會議開閉集散
第百五十一條 非常ノ事件アリテ會議ヲ要スルトキハ皇帝ハ臨時會ヲ開ク事ヲ得
第百五十二條 聯邦會議ノ開閉ハ皇帝之ヲ司ル
第百五十三條 毎年ノ常會ハ皇帝ノ命ナシト雖ドモ聯邦議員ハ自ラ會シテ議事ヲ為ス事ヲ得
第百五十四條 皇帝崩去ノ時ニ在リテハ聯邦議會ハ臨時會ヲ開ク
第百五十五條 現在議員ノ年期已ニ盡クルノ際未ダ交代ス可キノ議員ノ撰擧セラレザルノ間ニ於テ皇帝崩ズル事アルトキハ前期ノ議員集合シテ新議員ヲ生ズルマデ會議ヲ為ス事ヲ得
第百五十六條 立法會議皇帝ノ為ニ解散セラレ皇帝國法ノ通リニ復立セザル時ハ解散セラレタル議會ハ自ラ復會スルヲ得
第十章 會議規則
第百五十七條 聯邦立法議案ハ立法院國王倶ニ之ヲ出ス事ヲ得
第百五十八條 聯邦立法議會ノ議長ハ立法院ニ於テ議員ヨリ公撰ス
第百五十九條 凡會議ハ議員全数ノ過半数ノ出席ナレバ之ヲ開ク事ヲ得
但シ同一事件ニ付再度以上集會ヲ催シタルトキハ過半教ノ出席ナシト雖ドモ議事ヲ為ス事ヲ得
第百六十條 特別ニ定メタル規則ナキ事件ノ議事綜テ出席員過半数ノ議ヲ以テ決定ス両議同数ナル事アルトキハ議長ノ傾向スル所ニ決ス
第百六十一條 聯邦ノ立法會議ハ公ニ傍聴ヲ許ルス其特異ノ時機ニ際シテハ秘密ニスルヲ得
第十一章 立法院ノ決議ヲ國法トナスニ就テ皇帝ト相関スル規則
第百六十二條 聯邦立法院ニテ決定シタル成説ハ皇帝ニ呈シテ承認ヲ得ルヲ必トス
第百六十三條 皇帝立法院ノ成議ヲ受取ラバ三日以内ニ必ズ其答ヲ為サヾル可ラズ若シ其熟考セント要スル事アラバ其趣ヲ申通シテ二十日以内ニ可否ヲ示ス
第百六十四條 聯邦立法院ノ決定スル所ニシテ皇帝準許セザル事アルトキハ立法院ヲシテ之ヲ再議セシム
立法院之ヲ再議シタルトキハ議員総数過半以上ノ同意アルヲ見レバ更ニ奏シテ必ズ之ヲ行フニ定ム
第七編 行政権ニ関スル諸則
第一章 行政権ニ関スル大則
第百六十五條 日本聯邦行政権ハ日本皇帝ニ属ス
第百六十六條 日本聯邦ノ行政府ハ日本皇帝ニ於テ統轄ス
第百六十七條 日本聯邦ノ行政権ハ聯邦行政府ニ於テ開施ス
第百六十八條 皇帝ノ行政権ヲ行フニ就テハ國家ニ一ノ主相ヲ置キ又諸政ノ類ヲ分テ其各省ヲ設ケ其各主務官ヲ命ズ
第百六十九條 皇帝ヨリ出ス諸件ノ布告ハ主相ノ名ヲ署シ當該ノ本任長官副署シテ之ヲ発ス執政ノ副署ナキモノハ實行スルノ効ナシ
第百七十條 皇帝ヨリ発スル諸件ノ布告ニ就テハ主相及當該ノ本任長官其責ニ任ズ但シ執政ノ副署ナキモノハ執政ハ貴ニ任ゼズ
第二章 行政官
第百七十一條 聯邦行政官ハ皇帝ノ命ニ従フテ其職務ヲ取ル
第百七十二條 主相ハ皇帝ニ奏シテ諸省ノ長官ヲ任命スルヲ得
第百七十三條 聯邦執政ハ議案ヲ草シテ立法議會ニ提出スルヲ得又議會ニ参スルヲ得決議ノ数ニ入ル事ヲ得ズ
第百七十四條 聯邦行政官ハ聯邦立法議員ヲ兼ヌルヲ得ズ
第百七十五條 聯邦行政官ハ其執行スル政務ニ就キ皇帝並ニ國民ニ對シテ責ニ任ズ
其一執政ノ分テ為セシ事ハ當該ノ一執政乃チ其責ニ任ズ其衆執政分テ為セシ事ハ衆執政連帯シテ其責ニ任ゼズ
第百七十六條 聯邦行政官タル者職務上ノ罪犯過失ニ就テ彈劾セラレ糾問セラルヽ間ハ其ノ職ヲ辞スルヲ得ズ
第三章 行政府
第百七十七條 聯邦行政府ハ毎歳國費ニ関スル議案ヲ草シ立法議會ニ出ス
第百七十八條 聯邦行政府ハ毎歳國費決算書ヲ製シ立法議院ニ報ズ
第四章 統計局
第百七十九條 國家歳出入ノ豫算表精算表ハ行政府統計局ニ於テ之ヲ調成ス
第百八十條 統計局ノ長官ハ立法院之ヲ撰任ス
第百八十一條 統計局ハ國家ノ出納會計ヲ検査監察スル事ヲ得
第百八十二條 統計局ハ行政各部ヨリ會計ニ関スル一切ノ書類ヲ拾聚スル事ヲ得
策八編 司法権ニ関スル諸規則
第一章 司法権ニ関スル大則
第百八十三條 聯邦司法権ハ法律ニ定メタル法衙ニ於テ之ヲ實施ス
第百八十四條 特別ノ定メナキ民事刑事ノ裁判詞訟ハ司法権ノ管理ニ帰ス
第百八十五條 非常法衙ヲ設ケ非常法官ヲ撰デ臨時ニ司法権ヲ行フ事ヲ得ズ
第百八十六條 軍人ノ軍律ヲ犯スモノハ其軍ノ裁判所ニ於テ其軍ノ律ニ處ス
第二章 法 官
第百八十七條 凡ソ聯邦法官ハ立法議院ニ於テ任免ス
第百八十八條 法官ハ俸給アル職任ヲ兼ヌル事ヲ得ズ立法議員ヲ兼ヌル事ヲ得ズ
第三章 法 衙
第百八十九條 聯邦法衙ハ憲ニ遵フノ外不覊ニシテ他ノ管轄ヲ受ケズ
第四章 裁 判
第百九十條 凡ソ裁判ハ理由ヲ附シ所以ヲ明ニス
第百九十一條 民事裁判ハ代言ヲ許ス
第百九十二條 刑事裁判陪審ヲ設ケ辨護人ヲ許ス
第百九十三條 裁判ハ衆人ノ傍聴ヲ許シテ公ケニ之ヲ行フ風俗ヲ害スル事件ニ限リテ傍聴ヲ禁ズル事ヲ得
第百九十四條 (欠)
第五章 高等法院
第百九十五條 高等法院ハ執政ノ職務ニ係ル事案ヲ審判ス
第百九十六條 高等法院ハ皇王ニ對スル犯罪聯邦ニ封スル犯罪ノ如キ通常罪犯ノ外ナル非常ノ大犯罪ヲ審明ス
第九編 土 地
第百九十七條 國家土地ハ全國家ノ共有トス
第百九十八條 國家ノ土地ハ立法院ノ議ニ非ラザレバ一モ動カス事ヲ得ズ
第百九十九條 國家ノ土地ハ立法院ノ議ニ非ザレバ之ヲ他國ニ賣リ若クハ譲リ若クハ交換シ若クハ抵當ニ入ルヽ事ヲ得ズ
第十編 租 税
第二百條 聯邦ノ租税ハ各州ヨリ課ス其額ハ法律之ヲ定ム
第二百一條 聯邦ノ租税ハ聯邦立法院ノ議ヲ経ルニ非ザレバ一モ徴収スルヲ得ズ
第二百二條 聯邦ノ租税ハ毎年一回立法院ニ於テ議定ス
第十一編 國 金
第二百三條 聯邦ノ金銭ハ憲法ニ非レバ之ヲ使用シ之ヲ消費スルヲ得ズ
第十二編 財 政
第二百四條 憲法ニ依ルニ非レバ政府ハ國債ヲ起スヲ得ズ
第二百五條 憲法ニ依ラザレバ政府ハ諸債ノ保ニ立ツ事ヲ得ズ
第十三編 會 計
第二百五條(重複ママ) 毎年一切ノ出納ハ預算表並ニ精算表ニ掲ゲテ必ズ國家ニ公示ス
第十四編 甲 兵
第二百六條 國家ノ兵権ハ皇帝ニ在リ
第二百七條 國軍ノ大元帥ハ皇帝ト定ム
第二百八條 國軍ノ将校ハ皇帝之ヲ撰任ス
第二百九條 常備兵ハ法則ニ従ヒ皇帝ヨリ民衆中ニ募リテ之ニ應ズルモノヲ用ユ
第二百十條 常備軍ヲ監督スルハ皇帝ニ在リ非常ノ事アルニ際シテハ皇帝ハ常備軍ノ外ニ於テ軍兵ヲ募リ志願ニ随フテ之レヲ用フルヲ得
第二百十一條 他國ノ兵ハ立法院ノ議ヲ経ルニ非ラザレバ雇使スルヲ得ズ
本編初條ニ置ク見込ミ 軍兵ハ國憲ヲ護衛スルモノトス
第十五編 外國人帰化
第二百十二條 日本國ハ外國人ノ帰化ヲ許ス
第十六編 特 法
第二百十三條 内外戦乱アル時ニ限リ其地ニ於テハ一時人身自由住居自由言論出版自由集會結社白由等ノ権利ヲ行フ力ヲ制シ取締ノ規則ヲ立ツル事アルべシ其時機ヲ終ヘバ必ズ直ニ之ヲ廃セザルヲ得ズ
第二百十五條 戦乱ノ為ニ已ムヲ得ザル事アレバ相當ノ償ヲ為シテ民人ノ私有ヲ収用シ若クハ之ヲ滅盡シ若クハ之ヲ消費スル事アルべシ其最モ急ニシテ豫メ本人ニ照會シ豫メ償ヲ為ス事暇ナキトキハ後ニテ其償ヲ為スヲ得
第二百十六條 戦乱アルノ場合ニハ其時ニ限リ已ムヲ得ザルコトノミ法律ヲ置格スル事アルべシ
第十七編 鐵道電信陸路水利
第二百十七條 新ニ鉄道ヲ造リ電信ヲ架シ陸路ヲ啓キ水利ヲ通ズル等ノ事ハ通常會議ニ於テ之ヲ議スルヲ得ズ立法議員特別ノ會議ヲ以テ之ヲ定ムルヲ得議員過半数ノ同意アルモノハ之ヲ行フ事ヲ得
第十八編 憲法改正
第二百十八條 日本國憲法ヲ添刪改正スルトキハ必ズ立法會議ニ於テ之ヲ定ム
第二百十九條 憲法改正ノ議事ハ其日ノ出席議員数如何ニ関スル議員惣数ノ過半数ノ同意ニ非ラザレバ決定スルヲ得ズ
附 則
第二百二十條 日本國憲法施行ノ日ヨリ一切ノ法律條例布告等ノ國憲ニ抵觸スルモノハ皆之ヲ廃ス
附
公布 明治二十二年 二月 十一日
施行 明治二十三年十一月二十九日
告 文
皇朕レ謹ミ畏ミ
皇祖
皇宗ノ神霊ニ誥ケ白サク皇朕レ天壌無窮ノ宏謨ニ循ヒ惟神ノ宝祚ヲ継承シ旧図ヲ保持シテ敢テ失墜スルコト無シ顧ミルニ世局ノ進運ニ膺リ人文ノ発達ニ随ヒ宜ク
皇祖
皇宗ノ遺訓ヲ明徴ニシ典憲ヲ成立シ条章ヲ昭示シ内ハ以テ子孫ノ率由スル所ト為シ外ハ以テ臣民翼賛ノ道ヲ広メ永遠ニ遵行セシメ益々国家ノ丕基ヲ鞏固ニシ八洲民生ノ慶福ヲ増進スヘシ茲ニ皇室典範及憲法ヲ制定ス惟フニ此レ皆
皇祖
皇宗ノ後裔ニ貽シタマヘル統治ノ洪範ヲ紹述スルニ外ナラス而シテ朕カ躬ニ逮テ時ト倶ニ挙行スルコトヲ得ルハ洵ニ
皇祖
皇宗及我カ
皇考ノ威霊ニ倚藉スルニ由ラサルハ無シ皇朕レ仰テ
皇祖
皇宗及
皇考ノ神祐ヲ祷リ併セテ朕カ現在及将来ニ臣民ニ率先シ此ノ憲章ヲ履行シテ愆ラサラムコトヲ誓フ庶幾クハ
神霊此レヲ鑒ミタマヘ
憲法発布勅語
朕国家ノ隆昌ト臣民ノ慶福トヲ以テ中心ノ欣栄トシ朕カ祖宗ニ承クルノ大権ニ依リ現在 及将来ノ臣民ニ対シ此ノ不磨ノ大典ヲ宣布ス
惟フニ我カ祖我カ宗ハ我カ臣民祖先ノ協力輔翼ニ倚リ我カ帝国ヲ肇造シ以テ無窮ニ垂レタリ此レ我カ神聖ナル祖宗ノ威徳ト並ニ臣民ノ忠実勇武ニシテ国ヲ愛シ公ニ殉ヒ以テ此ノ光輝アル国史ノ成跡ヲ貽シタルナリ 朕我カ臣民ハ即チ祖宗ノ忠良ナル臣民ノ子孫ナルヲ回想シ其ノ朕カ意ヲ奉体シ朕カ事ヲ奨順シ相与ニ和衷協同シ益々我カ帝国ノ光栄ヲ中外ニ宣揚シ祖宗ノ遺業ヲ永久ニ鞏固ナラシムルノ希望ヲ同クシ此ノ負担ヲ分ツニ堪フルコトヲ疑ハサルナリ
朕祖宗ノ遺烈ヲ承ケ万世一系ノ帝位ヲ践ミ朕カ親愛スル所ノ臣民ハ即チ朕カ祖宗ノ恵撫慈養シタマヒシ所ノ臣民ナルヲ念ヒ其ノ康福ヲ増進シ其ノ懿徳良能ヲ発達セシメムコトヲ願ヒ又其ノ翼賛ニ依リ与ニ倶ニ国家ノ進運ヲ扶持セムコトヲ望ミ乃チ明治十四年十月十二日ノ詔命ヲ履践シ茲ニ大憲ヲ制定シ朕カ率由スル所ヲ示シ朕カ後嗣及臣民ノ子孫タル者ヲシテ永遠ニ循行スル所ヲ知ラシム
国家統治ノ大権ハ朕カ之ヲ祖宗ニ承ケテ之ヲ子孫ニ伝フル所ナリ朕及朕カ子孫ハ将来此ノ憲法ノ条章ニ循ヒ之ヲ行フコトヲ愆ラサルヘシ
朕ハ我カ臣民ノ権利及財産ノ安全ヲ貴重シ及之ヲ保護シ此ノ憲法及法律ノ範囲内ニ於テ其ノ享有ヲ完全ナラシムヘキコトヲ宣言ス
帝国議会ハ明治二十三年ヲ以テ之ヲ召集シ議会開会ノ時(明治23年11月29日)ヲ以テ此ノ憲法ヲシテ有効ナラシムルノ期トスヘシ
将来若此ノ憲法ノ或ル条章ヲ改定スルノ必要ナル時宜ヲ見ルニ至ラハ朕及朕カ継統ノ子孫ハ発議ノ権ヲ執リ之ヲ議会ニ付シ議会ハ此ノ憲法ニ定メタル要件ニ依リ之ヲ議決スルノ外朕カ子孫及臣民ハ敢テ之カ紛更ヲ試ミルコトヲ得サルヘシ
朕カ在廷ノ大臣ハ朕カ為ニ此ノ憲法ヲ施行スルノ責ニ任スヘク朕カ現在及将来ノ臣民ハ 此ノ憲法ニ対シ永遠ニ従順ノ義務ヲ負フヘシ
御名御璽
明治二十二年二月十一日
内閣総理大臣
伯爵 黒田 清隆
枢密院議長
伯爵 伊藤 博文
外務大臣
伯爵 大隈 重信
海軍大臣
伯爵 西郷 従道
農商務大臣
伯爵 井上 馨
司法大臣
伯爵 山田 顕義
大蔵大臣 兼 内務大臣
伯爵 松方 正義
陸軍大臣
伯爵 大山 巌
文部大臣
子爵 森 有礼
逓信大臣
子爵 榎本 武揚
大日本帝国憲法
第一章 天皇
第一条
大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス
第二条
皇位ハ皇室典範ノ定ムル所ニ依リ皇男子孫之ヲ継承ス
第三条
天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス
第四条
天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ
第五条
天皇ハ帝国議会ノ協賛ヲ以テ立法権ヲ行フ
第六条
天皇ハ法律ヲ裁可シ其ノ公布及執行ヲ命ス
第七条
天皇ハ帝国議会ヲ召集シ其ノ開会閉会停会及衆議院ノ解散ヲ命ス
第八条
1
天皇ハ公共ノ安全ヲ保持シ又ハ其ノ災厄ヲ避クル為緊急ノ必要ニ由リ帝国議会閉会ノ場合ニ於テ法律ニ代ルヘキ勅令ヲ発ス
2
此ノ勅令ハ次ノ会期ニ於テ帝国議会ニ提出スヘシ若議会ニ於テ承諾セサルトキハ政府ハ将来ニ向テ其ノ効力ヲ失フコトヲ公布スヘシ
第九条
天皇ハ法律ヲ執行スル為ニ又ハ公共ノ安寧秩序ヲ保持し及臣民ノ幸福ヲ増進スル為ニ必要ナル命令ヲ発シ又ハ発セシム但シ命令ヲ以テ法律ヲ変更スルコトヲ得ス
第十条
天皇ハ行政各部ノ官制及文武官ノ俸給ヲ定メ及文武官ヲ任免ス但シ此ノ憲法又ハ他ノ法律ニ特例ヲ掲ケタルモノハ各〃其ノ条項ニ依ル
第十一条
天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス
第十二条
天皇ハ陸海空軍ノ編制及常備兵額ヲ定ム
第十三条
天皇ハ戦ヲ宣シ和ヲ講シ及諸般ノ条約ヲ締結ス
第十四条
1
天皇ハ戒厳ヲ宣告ス
2
戒厳ノ要件及効力ハ法律ヲ以之ヲ定ム
第十五条
天皇ハ爵位勲章及其ノ他ノ栄典ヲ授与ス
第十六条
天皇ハ大赦特赦減刑及復権ヲ命ス
第十七条
1
摂政ヲ置クハ皇室典範ノ定ムル所ニ依ル
2
摂政ハ天皇ノ名ニ於テ大権ヲ行フ
第二章 臣民権利義務
第十八条
日本臣民タル要件ハ法律ノ定ムル所ニ依ル
第十九条
日本臣民ハ法律命令ノ定ムル所ノ資格ニ応シ均ク文武官ニ任セラレ及其ノ他ノ公務ニ就クコトヲ得
第二十条
日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ兵役ノ義務ヲ有ス
第二十一条
日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ納税ノ義務ヲ有ス
第二十二条
日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ移住及移転ノ自由ヲ有ス
第二十三条
日本臣民ハ法律ニ依ルニ非スシテ逮捕監禁審問処罰ヲ受クルコトナシ
第二十四条
日本臣民ハ法律ニ定メタル裁判官ノ裁判ヲ受クルノ権ヲ奪ハルゝコトナシ
第二十五条
日本臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク外其ノ許諾ナクシテ住所ニ侵入セラレ及捜索サルヽコトナシ
第二十六条
日本臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク外信書ノ祕密ヲ侵サルゝコトナシ
第二十七条
1
日本臣民ハ其ノ所有権ヲ侵サルゝコトナシ
2
公益ノ為必要ナル処分ハ法律ノ定ムル所ニ依ル
第二十八条
日本臣民ハ安寧秩序ヲ妨ケス及臣民タルノ義務ニ背カサル限ニ於テ信教ノ自由ヲ有ス
第二十九条
日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ言論著作印行集会及結社ノ自由ヲ有ス
第三十条
日本臣民ハ相当ノ敬礼ヲ守リ別ニ定ムル所ノ規程ニ従ヒ請願ヲ為スコトヲ得
第三十一条
本章ニ掲ケタル条規ハ戦時又ハ国家事変ノ場合ニ於テ天皇大権ノ施行ヲ妨クルコトナシ
第三十二条
本章ニ掲ケタル条規ハ陸海空軍ノ法令又ハ紀律ニ牴触セサルモノニ限リ軍人ニ準行ス
第三章 帝国議会
第三十三条
帝国議会ハ貴族院衆議院ノ両院ヲ以テ成立ス
第三十四条
貴族院ハ貴族院令ノ定ムル所ニ依リ皇族華族及勅任セラレタル議員ヲ以テ組織ス
第三十五条
衆議院ハ選挙法ノ定ムル所ニ依リ公選セラレタル議員ヲ以テ組織ス
第三十六条
何人モ同時ニ両議院ノ議員タルコトヲ得ス
第三十七条
凡テ法律ハ帝国議会ノ協賛ヲ経ルヲ要ス
第三十八条
両議院ハ政府ノ提出スル法律案ヲ議決し及各〃法律案ヲ提出スルコトヲ得
第三十九条
両議院ノ一ニ於テ否決シタル法律案ハ同会期中ニ於テ再ヒ提出スルコトヲ得ス
第四十条
両議院ハ法律又ハ其ノ他ノ事件ニ付キ各々其ノ意見ヲ政府ニ建議スルコトヲ得但シ其ノ採納ヲ得サルモノハ同会期中ニ於テ再ヒ建議スルコトヲ得ス
第四十一条
帝国議会ハ毎年之ヲ召集ス
第四十二条
帝国議会ハ三箇月ヲ以テ会期トス必要アル場合ニ於テハ勅命ヲ以テ之ヲ延長スルコトアルヘシ
第四十三条
臨時緊急ノ必要アル場合ニ於イテ常会ノ外臨時会ヲ召集スヘシ臨時会ノ会期ヲ定ムルハ勅命ニ依ル
第四十四条
1
帝国議会ノ開会閉会会期ノ延長及停会ハ両院同時ニ之ヲ行フヘシ
2
衆議院解散ヲ命セラレタルトキハ貴族院ハ同時ニ停会セラルヘシ
第四十五条
衆議院解散ヲ命セラレタルトキハ勅令ヲ以テ新ニ議員ヲ選挙セシメ解散ノ日ヨリ五箇月以内ニ之ヲ召集スヘシ
第四十六条
両議院ハ各々其ノ総議員三分ノ一以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開キ議決ヲ為ス事ヲ得ス
第四十七条
両議院ノ議事ハ過半数ヲ以テ決ス可否同数ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
第四十八条
両議院ノ会議ハ公開ス但シ政府ノ要求又ハ其ノ院ノ決議ニ依リ秘密会ト為スコトヲ得
第四十九条
両議院ハ各々天皇ニ上奏スルコトヲ得
第五十条
両議院ハ臣民ヨリ呈出スル請願書ヲ受クルコトヲ得
第五十一条
両議院ハ此ノ憲法及議院法ニ掲クルモノゝ外内部ノ整理ニ必要ナル諸規則ヲ定ムルコトヲ得
第五十二条
両議院ノ議員ハ議院ニ於テ発言シタル意見及表決ニ付院外ニ於テ責ヲ負フコトナシ但シ議員自ラ其ノ言論ヲ演説刊行筆記又ハ其ノ他ノ方法ヲ以テ公布シタルトキハ一般ノ法律ニ依リ処分セラルヘシ
第五十三条
両議院ノ議員ハ現行犯罪又ハ内乱外患ニ関ル罪ヲ除ク外会期中其ノ院ノ許諾ナクシテ逮捕サルゝコトナシ
第五十四条
国務大臣及政府委員ハ何時タリトモ各議院ニ出席シ及発言スルコトヲ得
第四章 国務大臣及枢密顧問
第五十五条
1
国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責ニ任ス
2
凡テ法律勅令其ノ他国務ニ関ル詔勅ハ国務大臣ノ副署ヲ要ス
第五十六条
枢密顧問ハ枢密院官制ノ定ムル所ニ依リ天皇ノ諮詢ニ応ヘ重要ノ国務ヲ審議ス
第五章 司 法
第五十七条
1
司法権ハ天皇ノ名ニ於テ法律ニ依リ裁判所之ヲ行フ
2
裁判所ノ構成ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第五十八条
1
裁判官ハ法律ニ定メタル資格ヲ具フル者ヲ以テ之ニ任ス
2
裁判官ハ刑法ノ宣告又ハ懲戒ノ処分ニ由ルノ外其ノ職ヲ免セラルゝコトナシ
3
懲戒ノ条規ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第五十九条
裁判ノ対審判決ハ之ヲ公開ス但シ安寧秩序又ハ風俗ヲ害スルノ虞アルトキハ法律ニ依リ又ハ裁判所ノ決議ヲ以テ対審ノ公開ヲ停ムルコトヲ得
第六十条
特別裁判所ノ管轄ニ属スヘキモノハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第六十一条
行政官庁ノ違法処分ニ由リ権利ヲ傷害セラレタリトスルノ訴訟ニシテ別ニ法律ヲ以テ定メタル行政裁判所ノ裁判ニ属スヘキモノハ司法裁判所ニ於テ受理スルノ限ニ在ラス
第六章 会 計
第六十二条
1
新ニ租税ヲ課シ及税率ヲ変更スルハ法律ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
2
但シ報償ニ属スル行政上ノ手数料及其ノ他ノ収納金ハ前項ノ限ニ在ラス国債ヲ起シ及予算ニ定メタルモノヲ除ク外国庫ノ負担トナルヘキ契約ヲ為スハ帝国議会ノ協賛ヲ経ヘシ
第六十三条
現行ノ租税ハ更ニ法律ヲ以テ之ヲ改メサル限ハ旧ニ依リ之ヲ徴収ス
第六十四条
1
国家ノ歳出歳入ハ毎年予算ヲ以テ帝国議会ノ協賛ヲ経ヘシ
2
予算ノ款項ニ超過シ又ハ予算ノ外ニ生シタル支出アルトキハ後日帝国議会ノ承諾ヲ求ムルヲ要ス
第六十五条
予算ハ前ニ衆議院ニ提出スヘシ
第六十六条
皇室経費ハ現在ノ定額ニ依リ毎年国庫ヨリ之ヲ支出シ将来増額ヲ要スル場合ヲ除ク外帝国議会ノ協賛ヲ要セス
第六十七条
憲法上ノ大権ニ基ツケル既定ノ歳出及法律ノ結果ニ由リ又ハ法律上政府ノ義務ニ属スル歳出ハ政府ノ同意ナクシテ帝国議会之ヲ廃除シ又ハ削減スルコトヲ得ス
第六十八条
特別ノ須要ニ因リ政府ハ予メ年限ヲ定メ継続費トシテ帝国議会ノ協賛ヲ求ムルコトヲ得
第六十九条
避クヘカラサル予算ノ不足ヲ補フ為ニ又ハ予算ノ外ニ生シタル必要ノ費用ニ充ツル為ニ予備費ヲ設クヘシ
第七十条
1
公共ノ安全ヲ保持スル為緊急ノ需要アル場合ニ於テ内外ノ情形ニ因リ政府ハ帝国議会ヲ召集スルコト能ハサルトキハ勅令ニ依リ財政上必要ノ処分ヲ為スコトヲ得
2
前項ノ場合ニ於テハ次ノ会期ニ於テ帝国議会ニ提出シ其ノ承諾ヲ求ムルヲ要ス
第七十一条
帝国議会ニ於イテ予算ヲ議定セス又ハ予算成立ニ至ラサルトキハ政府ハ前年度ノ予算ヲ施行スヘシ
第七十二条
1
国家ノ歳出歳入ノ決算ハ会計検査院之ヲ検査確定シ政府ハ其ノ検査報告ト倶ニ之ヲ帝国議会ニ提出スヘシ
2
会計検査院ノ組織及職権ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第七章 補 則
第七十三条
1
将来此ノ憲法ノ条項ヲ改正スルノ必要アルトキハ勅命ヲ以テ議案ヲ帝国議会ノ議ニ付スヘシ
2
此ノ場合ニ於テ両議院ハ各〃其ノ総員三分ノ二以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開クコトヲ得ス
3
出席議員三分ノ二以上ノ多数ヲ得ルニ非サレハ改正ノ議決ヲ為スコトヲ得ス
第七十四条
1
皇室典範ノ改正ハ帝国議会ノ議ヲ経ルヲ要セス
2
皇室典範ヲ以テ此ノ憲法ノ条規ヲ変更スルコトヲ得ス
第七十五条
憲法及皇室典範ハ摂政ヲ置クノ間之ヲ変更スルコトヲ得ス
第七十六条
1
法律規則命令又ハ何等ノ名称ヲ用ヰタルニ拘ラス此ノ憲法ニ矛盾セサル現行ノ法令ハ総テ遵由ノ効力ヲ有ス
2
歳出上政府ノ義務ニ係ル現在ノ契約又ハ命令ハ総テ第六十七条ノ例ニ依ル